景色や食もいいけど出会い。
ずっと来たかった高野山。和歌山県高野町にある山々の総称だ。
かの有名な密教の伝道師『空海』の総本山として名が知られている。
今年創業1200年を迎えるそうだ。気合を入れて修行がはじまる!
本編はじまり!
ミンミンミンミン。ある葉月の真夏日、セミの鳴き声で目覚める。
あまりの蒸し暑さに顔がゆがむ。僕は勢いよくテントを飛び出した。
ベンチに座って麦茶を一杯。落ち着いた所で身支度をはじめる。
道の駅のトイレへと歩いていく。すると旅人らしき人物が現れた。
少年のような若々しい目をした青年。彼は工学部の三年生であった。
相棒は自作のソーラパネル設備と無線機を積んだ自転車だという。
たまげた!もはやマシンではないか。これで香川の実家に帰るそうだ。
朝から素敵な出会いに嬉しくなる。彼のおかげでいいスタートが切れた。
さぁ今日は密教の聖地を観光予定だ。寺のある山まで登りはじめる。
そう空海の高野山だ。滋賀で訪れた比叡山と並ぶ密教の聖地である。
密教は他の仏教と違い、文書でなく行為によって伝承されていくそうだ。
だから神秘のベールに包まれている。不思議ハンターの血が騒ぐ。
ちなみに空海はDBだと努力型の悟空と言える。最澄はベジータだ。
観光ではバスで登るのが一般的だが、意地でも自転車で頂上を目指す。
高くなる太陽に喉が渇く。自販機が見えた瞬間には笑みがこぼれた。
入口の大門に到着した。ここでは地元のお兄さん2人と出会った。
彼らも自転車を漕いで来たのだという。僕の旅をひどく驚いてくれた。
自転車の旅に興味があるそうで、会ってわずか数分で仲良くなった。
別れを告げて道を進む。警備のおじさんに応援されつつ山頂へ。
観光地化された雰囲気は拭えないが、やはり聖地だ。気が引きしまる。
今記事も何故か「ですます調」でなく「である調」になっている。
さっきのお兄さんと再会もした。一緒に観光するのは当然の流れだ。
きっと何かしら縁があったのだろう。目にうつる全てのことはメッセージ。
ジブリ映画『魔女の宅急便』のエンディングでユーミンも言っていた。
「好きなもんくいや〜!」柔らかい関西弁でお昼をご馳走になった。
木があれば登るし、川があれば飛び込む性格の兄さん。親近感が湧く。
気さくな彼は地元のことを教えてくれた。こういう出会いは嬉しい。
なんとお菓子もご馳走になることに。まことに至れり尽くせりである。
話しは尽きない。旅の事について目を輝かせて、質問の嵐がやってきた。
自分ではまだ未熟だと思うが、それなりに旅しきたことを実感する。
楽しい時間が過ぎるのは一瞬。一期一会を感じ手を振って見送る。
部活の先輩のような二人だった。地元に帰ったような気持ちになった。
小さくなる背中に寂しさを感じる。一日ありがとうございました!
最後に一人で高野山を散策する。なにやら面白い行事を見つけた。
十戒という生きてく上でのルールを学べるそうだ。さっそく受付を済ます。
気になるその具体的内容は、僧が唱える言葉を復唱するというもの。
奥の部屋に案内され座禅を組む。周りを見ると他に数名の姿がある。
はじまると運動会での君が代の空気だ。皆周りを気にしてモゴモゴ呟く。
貴重な体験ができるのにもったいない。せっかく来て何してんだ。。
イントネーションも完璧に唱えてやったぜ!修行かんりょー( ´ ▽ ` )ノ
おっと危っぶねー!ちょっと素が出てしまった。である調である調っと!
最後に奥ノ院へ歩いていく。ここには有名な武将達の墓石があった。
日が傾いてきたので、観光案内所のお姉さんに道を聞いて出発。
なんなのだここは酷道ではないか。道が狭い上に砂利道なのである。
不穏な予感。不都合なことはドミノが倒れるように続くものだ。
自転車のライトが切れてしまった。これは困った一体どうしたものか。
今いる場所は川沿いの道だ。柵がないため踏み外せば怪我では済まない。
幸い携帯のライトが使えることに気がつく。この明かりが命綱になる。
真っ暗闇に一人ぼっち。心臓の鼓動トクトクと速くなる。怖すぎなう。
やっとの思いで橋本市に突入した。それはそれは大きな花火が聞こえる。
祭りから帰る家族やカップルの会話が騒めいている。町が見えた。
次回につづく。。
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